【ウィーン治安】体験談『世界一住みやすい街で全財産を盗まれた話』

ウィーン留学

 

これは、現在ウィーン在住8年の私がミュージカル留学のため、この街にやってきて1ヶ月目に起きた 悲劇 です。


このブログでは散々ウィーン・ミュージカル留学の魅力を語っておきながら、
こんな物騒な話を書くことをお許しください…

 


ウィーン・ミュージカル留学については以下の記事にまとめています⇩
ミュージカル留学の穴場 オーストリア・ウィーン!【体験談】

 

この事件から私があなたにお伝えしたいことは以下の点です!

・どんなに治安の良い国でも犯罪者はいる

・貴重品はひとまとめにするな

・保険はやっぱり役に立つ

・それでもウィーンは住みやすい街

・誰にも盗まれないモノを大切にして生きよう

 

 

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治安のよいウィーンで起こった悲劇

2013年9月30日 オーストリア・ウィーン…


この日はミュージカル科に入学してから、2回目のヴォーカルコーチのレッスンがある日だった。

 

先生のプライベートスタジオでのレッスンだったため、学校で他の授業を終えた後、地下鉄4番線で先生のスタジオのある Margaretengürtel へ向かった。

 

この日は授業が詰まっていて、びしょびしょに汗を吸った踊りのレッスン着やジャズシューズ、タップシューズなどで荷物が重たい。

レッスンの後にドイツ語学校でクラスの申込みをするために、必要書類や現金など、ふだん持ち歩かないものもたくさん入っていた。

 

スタジオの最寄駅に早く着きすぎてしまったので、駅前の公園のベンチに座って時間を潰すことにした。

 

 

10分くらいたった頃、私がベンチに座って楽譜を眺めていると、正面から高校生くらいの男の子が近づいてきた。

 

 

「道がわからないんだけど…」

 

 

と、何やら道を尋ねたい様子。

 

道なんか私が聞きたいわ!って感じだし、何となく話したくない。

 

わかりません、とだけ答えているのに、

 

 

「どこから来たの?」

 

「何歳?」

 

「何してるの?」

 

「名前なんていうの?」

 

 

と次から次へと話かけてくる。

 

ずっと無視してるのも居心地が悪くなって、私は拙いドイツ語で返事をしはじめた。

 


今思えば完全にフラグが立っている。

 


しかしこの時の私は、こちらに来て1ヶ月。

生活のほぼすべてであった学校では、こなさなければならない授業に追われ、周りはオーストリア人ばかりで話にもついていけない。

 

 

ドイツ語でゆっくり人と話せることを楽しいと思ってしまった。

 

 

これが完全に油断だった。

 

 


「それ、何持ってるの?」

 


と男の子が私が持っていた楽譜を覗き込んだその瞬間、

 

脇に挟んでベンチに置いていた私のカバンを、誰かが後ろから思い切り引き抜いた!

 


振り返ると、同じく高校生くらいの男の子が私のカバンを持って公園から道路の方へ走って行く!!

 


私の注意を引きつけておいて、もう1人が後ろから近づいていたようだった。

 


全く気がつかなかった。

 


私もすぐに犯人を追いかけて走り出す!!

 

あのカバンには、ドイツ語学校に払う5万円ほどの現金、クレジットカードにキャッシュカード、住民票に家の鍵、パスポートにiPad、大切なダンス用品や楽譜など、私にとってはウン十万円以上の、今の生活のすべてが詰まっている。

 

冗談じゃない。

 

 

「ディープ!!ディーーーープ!!!!!(ドロボーー!!ドロボーーーー!!!!)

 

 

と叫びながら犯人を追いかける。


後ろから、私と話していた男の子も追いかけてきて、3人で追いかけっこ状態。

 

異様な光景と私の叫び声に気づいて、道路の反対側で井戸端会議をしていたおばちゃんたちが、

 


「今警察呼ぶからねーーーー!!!!」

 


と叫んでくれている。

 

200メートルくらい追いかけっこしただろうか。

 

 

犯人たちは突き当たりの道路から路地に入り、そこに待っていた車に飛び乗って走り去ってしまった。

 

万事休す。

 

 

 

車の中から状況を見ていたおばちゃんが降りてきて、パニックで号泣し始めた私を慰めてくれる。

工場で仕事を終えたおっちゃんたちがゾロゾロ出てきて、なんだ?どうしたんだ?と心配して集まってくる。

おばちゃんがことの次第をみんなに説明して、チャリで通りかかったイケメンにいちゃんが、

「まだこの辺りにいるかもしれないから、見てくるよ!!!」

と言ってチャリで走り出した。

 

絶望とパニックで何も考えられなかったけど、街の人たちは優しかった。

 

 


不幸中の幸いに、スマホだけは上着のポケットに入れていて無事だった。

 

時間を見ると、私のレッスン開始時間はとうに過ぎている。
先生に連絡しなきゃと思うけど、手が震えてスマホが使えない。

 


そうこうしてる間に警察が来て、パトカーで警察署に向かった。
カバンの中には鍵と一緒に住民票も入っていたから、家も心配だ。

 


警察署からカード会社や銀行に連絡して、口座のお金は無事だった。
現場の状況やカバンの中身を説明して、盗難届が作成された。 

 

本当に追い詰められると不思議なもので、いつもはつっかえつっかえのドイツ語がスルスル出てくる。

 

火事場の馬鹿力はドイツ語力にも有効だ。


警察の方から、「貴重品以外は2、3日後にどこかに捨てられることもあるから
何か見つかれば連絡します」と言われて家に向かった。

1年分の電車の定期券も失ったが、この盗難届で電車に乗れるらしい。

 

 

何とか帰宅すると、同じ建物に住んでいて、困った時にいつも私を助けてくれる神様のようなご夫婦がすぐに駆けつけてくれた😭

 

その日のうちに鍵を付け替えて下さって、無事に家に入ることができた。

 

 

家の中は無事だった。

部屋に置いてあった日本のクレジットカード1枚も無事だったが、キャッシング機能をつけていなかったので現金が下ろせない。

 

ご夫婦が当面のお金も貸してくれた😭

ヴォーカルコーチの先生も、「お金がなくて帰れなかったら、届けにいくよ」と連絡をくれていた😭

 

 

翌朝から、パスポート、キャッシュカード、定期券などの再発行をして回った。

 

ウィーン留学生活1ヶ月目。だいぶ手荒い歓迎を受けることになった。

それと同時に、周りの人たちの優しさと温かさをたっぷりと感じた出来事だった。

 

 

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どんなに治安の良い国でも犯罪者はいる

後から聞いた話ですが、ウィーンで盗難を繰り返していたポーランド人の少年グループがいたようで、どうやら彼らの犯行だったようです。ポーランドがEUに加盟して以来、ウィーンの盗難車がポーランドで売られている、といったような犯罪も度々起こっているようでした。

こんな記事をを読んだら、ウィーン危ないじゃん!と思われるかもしれませんが、私のような事件はかなり稀です。その後8年間、身の回りでスリなどの事件に巻き込まれたという話は一度も聞いていません。

ただ、日本でだって置き引きやひったくりがあるように、どんなに治安がよいと言われる国でも犯罪はあります。

治安があまりよくない地区には近づかない、また、行かざるを得ない場合でも長時間留まらないようにしたほうがいいですね。

当時私は来たばかりでよく知らなかったのですが、事件現場のMargaretengürtel駅、またすぐ隣のGumpendorferstraße駅では、麻薬の売り買いがされていることがあり、治安のよい地区ではありませんでした。

また、これは現場とは違う地区ですが、Favoriten地区(10区)はウィーンでダントツに犯罪の多い地区です。

観光ではそれほど行くことはない地区かもしれませんが、長期滞在する場合には注意したほうが良いでしょう。

また、シュテファン寺院付近ルントナー通りなどの観光客が多い場所には、スリが潜んでいる可能性があります。

 

・人気の多い場所では、カバンは体の前に持つ

・カバンのファスナーは閉める

荷物で場所取りは絶対NG

・カフェなどでもカバンは体のそばに置く

気のない場所に長時間留まらない


などの基本的なことに気をつけておけば大丈夫です。

日本のように、電車におき忘れたスマートフォンが戻ってくるなんてことはさすがにないので、私のように油断せずに!楽しい時間を過ごしてください😭!

 

オーストリア電話番号
警察 ⇨ 133
救急車 ⇨ 144

 

貴重品はひとまとめにするな

この事件が起きる前まで、私はパスポートを持ち歩くときはいつも首からかけて、そこにある程度の現金とカードも入れていました。こちらの生活に少し慣れてきた油断で、この日は全てをカバンの中にひとまとめに持っていました😱

パスポートの再発行のために行った日本大使館では、手数料をクレジットカードで支払うことができず、ご夫婦からお借りした現金を全て使うことになってしまいました😭

 

財布やカードは分けて入れたり、ホテルの金庫なども使って、例えカバンが盗まれても、一文無しになってしまわないよう準備しておくことをオススメします!

 

もしもの時に慌てないように、パスポートのコピーとクレジットカードのお問い合わせデスクの電話番号は準備しておいたほうがいいかもしれません。

 

 

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保険はやっぱり役に立つ

私の盗まれたカバンの中身の損害はおおよそ、15~20万円ほどでした。

幸いなことに私はこのとき留学保険に入っており、盗難も保険の対象でした。
警察で作ってもらった盗難届(Diebstahlanzeige)を保険会社に提出し、現金以外の約15万円ほどを保険で補填することができました。

 

心配な方は、盗難がカバーされている海外保険に入るのも良いかもしれません😊

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それでもウィーンは住みやすい街

来て早々にえらい目に遭った私ですが、あれから8年間、もう日本に帰りたい!!と思ったことは一度もありません。
(日本のみんなに会いたいとか、温泉入りたいとか、美味い寿司が食べたいとかはもちろんあります😆)

生活費が安く、通勤通学、公共施設やお店、病院などが生活区域に集合していて、とても生活しやすい街です。

 

誰にも盗まれないモノを大切にして生きよう

事件の夜、私の手元に残ったのは、ケータイと、日本のクレジットカード1枚だけでした。

なかなかひどい目に遭ったはずなのに、この夜、私はベットの中で、「私の大事なものは何も盗まれてないなぁ」なんて呑気なことを思っていました。

 

きっと周りの人たちがとても温かかったからだと思います。

 

 

自分の考えていること、培った経験、出来ること、そして築いてきた人との関係、決して人に奪われることのないモノを大切に生きようと思った出来事でした😊

 

 

あなたのウィーン滞在が素敵な時間になりますように。

 

 

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